更地について① ー日本アプレイザル㈱ー
現在、マスコミ等において話題となっている更地、更地価格という言葉について検討してみたいと思います。
「更地」の定義
不動産鑑定評価基準・不動産用語辞典
建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地。
広辞苑
① 何の用途にも当てられていない土地。未使用の土地。
②[法]地上に建築物などの存しない宅地。
上記定義から、マスコミ等の一般の理解は、地上に建物等がない空地を更地と呼称していると思料されます。
「更地」の正確な定義
①建物等の定着物がないこと
地下部分を残したまま地上部分だけを取り壊し、地上からは地下部分が見えない状態の場合は、空地ではあるが更地とは言いません。
即ち、地上及び地下部分に建物等の定着物がないことが前提となります。
②使用収益を制約する権利の付着していないこと
借地権等の所有権以外の権利が付着していない、即ち完全所有権であることが必要です。
従って、建物等がない空地であっても、借地権等が設定されている場合は更地とは言いません。
③宅地であること
宅地とは、建物等が建築できる土地であり、不動産鑑定評価基準では宅地地域のうちにある土地を言います。
従って、林地、農地等は空地であっても更地とは言いません。
なお、地下に建物等の定着物ではない埋設物、残置物等がある場合については、定義からは上記①の要件を満たしていますが、その評価については、土壌汚染等も含めて次の機会に検討してみたいと思います。